家づくりにまつわるコラム

Vol.44 住まい方の楽しみ[オープンキッチン編]

2016.07.01

いつの頃からでしょうか。キッチンに吊戸棚が無くなりました。プランの打合せでもほとんどがダイニングやリビングに対して、オープンスタイルの対面型キッチンタイプで、腰壁を付けてキッチンの手元を隠すか、フルオープンにするかの二者択一に近くなってきました。別の選択肢があるとすれば、コンロからの油飛びを気にされて、コンロ前に壁やガラススクリーンを設けるということがたまにあるくらいで、昔のような独立型のキッチンを希望する方はいなくなりました。

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現在は、昔のように「台所には奥さまだけが入って料理をする」という概念はなく、ご主人もキッチンに立つというケースが増えてきています。今や死語になりつつある「男子厨房に入らず」というのは、昔の日本男子の意気込みのようなものでした。「男が外で一生懸命働いて、家族を食べさせているのだから、その上、家事まで負担させられてたまるものか」という考えです。

私は古い考え方のようで、結婚するまでは独身生活が長かったため、料理は残り物で適当に作れるようになっていましたが、結婚してからはほとんど台所には入っていません。たまに料理をしようとすると、どこに何があるかが分からず、先日は出来上がった料理をタッパーに入れて保存しようと思い、タッパーを探しましたが、器とフタが別々に仕舞われており、どの器がどのフタだか分かりませんでした。そして、今度はビニール袋に入れよう思い、ビニール袋を探しましたが見つかりませんでした。妻に尋ねると、我が家にはビニール袋がないことに初めて気付かされました。

私が好きなハナレグミの曲に「家族の風景」があります。「キッチンにはハイライトとウィスキーグラス。どこにでもあるような家族の風景」で始まり、どこか懐かしい「心地よい家族の風景」を連想できる曲ですが、どこの家にもタバコがあるとは限りません。現在では家の中、特に新築の家の中で、タバコを吸うと言われるご主人にお会いしたことがありません。「今は失ったモノ」や「今は持っていないモノ」を懐かしい理想の家族の風景と感じられるのではないかと思います。

それぞれのライフスタイルによる「家族の風景」はあると思います。ご主人がキッチンに入る頻度はさまざまです。しかし、ご主人や子どもが多かれ少なかれキッチンに立つ時代になり、その傾向が望ましいと思うのであれば、キッチンは従来より家族全員にとって開かれた場所=オープンキッチンになるべきだと思います。

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