堺市の住宅密集地に建つ、柔らかな光の中で過ごす穏やかな時間を楽しむ住まいは、東西に長い(間口5.1m×奥行14.3m)23坪の中に“道路から生活が見えないようにしてほしい”というご要望を考慮した計画とした。採光と通風をもたらしているのは、2つのバルコニーとスリット階段である。ひとつは、1階の階段ホールに繋がる南東角に設けた1間×2間の細長いバルコニーは、焼杉で囲まれた狭小スペースながらも、周囲の視線を気にすることなく、空を身近に感じることができ、共働きのご夫婦には便利な脱衣室と繋がった洗濯物干し場ともなる機能的な贅沢な空間となった。もう1つは、3階の道路側に設けた、火災時の非難にどうしても必要なバルコニーである。2階の窓と同じシルエットとし、正面ファサードのアクセントとなった。スリット階段は室内に開放感と共に光を取り入れる役割も担い、空間の広がりと変化を生み、時間と共に光のシルエットを楽しむ事が出来る。