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住まいのコラム

敷地条件に合わせた空間づくりの工夫

間取り・住まい方 | 2018.07.14

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土地探しや土地の特性を最大限に活かす間取り計画に役立つ「敷地条件に合わせた空間づくりの工夫」をご紹介します。

土地探しからの家づくりをされる方は、まず希望エリアや予算を決めるところからスタートされるかと思います。住むエリアを選定されるにあたり、人それぞれ価値観や条件はありますが、最終的には予算とともに、この土地に建てる家や暮らしが「本当に自分たちの目指すものになるのか」という不安から迷いが生じることも多い傾向にあるようです。

たとえ希望エリアであっても「道路が狭い」「日当たりが悪そう」「土地の間口が狭い」「街の雰囲気が好みではない」など、気になる点は少なからず出てくるでしょう。全ての条件を満たす土地に巡り合えるという保証がないなかで、土地購入の決断をする日が必ずやってくるのです。そこで、いろいろな敷地条件のなかで、敷地条件に合わせて、居心地のいい空間づくりのために考えられる3つの工夫をお伝えします。

CASE1|都市部や密集住宅地の場合

都市部や密集住宅地は、土地の大きさが限られているため、必然的に建物の大きさは制約されてしまい、狭く窮屈な家しか建たないのではないかと不安になってしまうかもしれません。それでもリビングなどゆったりと落ち着きたい空間には、広がりと安定感がほしいものです。そんな時は、空間に視覚的な効果を与え、広がりや安定感を感じる工夫を取り入れてみましょう。

室内で視界に入るものには、窓や家具、エアコンや照明などがあります。これらの配置を調整することで広がりや安定感を生み出すことができます。例えば、水平ラインを揃えることで左右に広がりを感じたり、ラインの高さを下げることで安定感を生むことができます。また、エアコンなど視界に入る要素を目立たなくすることで、空間をスッキリと見せることができます。

https://www.advance-architect.co.jp/works/2018/05/hhh2/
▲窓や家具の水平ラインを揃えたLDK(建築実例「HHH-house 囲む家」より

そしてもう一つ、窓とその先の風景を利用して広がりを感じる方法があります。

これには天井や床面に設置する窓が効果的です。特にリビングと連続するテラスなどは床面と高さを合わせることにより、窓の先にもう一つ部屋があるような感覚が起こり広く感じることができます。地窓(床面に設置した小さめの窓)を使うと、小さな坪庭でも屋外を感じられ、空間に広がりを覚えます。平面で見たら狭い印象を受ける場合でも、立体空間をモデルハウスや見学会で体感したり、CGパースを確認することで随分印象が変わったりするため、ぜひ一度ご体感ください。

https://www.advance-architect.co.jp/works/2015/05/smi/
▲LDKと連続するウッドテラス(建築実例「SMI-house ミドリとシロの家」より

CASE2|高さ制限の制約を受ける敷地の場合

高さ制限が厳しい地域では、全ての階で十分な天井高を確保することが難しい場合があります。そんな時は、低い天井の落ち着いた空間と高い天井の開放的な空間を組み合わせて、空間の変化を楽しむ工夫をしてみましょう。例えば、1階のリビングダイニングに大きな吹抜けと窓を設ける一方、2階の子ども部屋や寝室となるプライベート空間は、天井高さを2.2m程度に低く抑えるというのも一つの工夫です。

https://www.advance-architect.co.jp/works/2018/05/hhh2/
▲天井高さを2.2mに抑えた主寝室(建築実例「HHH-house 囲む家」より)

天井は高い方が良いというわけではないと言われます。人は立ったままではありませんので、ほどよく抑えられた天井高さは座った時に落ち着くことができます。また、建物の性能に依るところもありますが、空間ボリュームが減る分、冷暖房効率も上がります。

狭小地や都市部の3階建て住宅になると、道路斜線や北側斜線といった高さ制限を受けることが多く、階高の工夫が必要になりますが、狭い空間を広く見せる意味でも天井高さを抑えることにより、横の広がりが増すことがあります。そして、広さにあった天井高さのバランスも大切です。例えば、5畳の広さに対して天井高さが3m近くもある部屋は、少々落ち着かない空間に感じることでしょう。

CASE3|隣家と距離が近い狭小地の場合

隣家と距離が近いと「日当たりが悪そう」と不安になってしまうかもしれません。そんな時は、2階にLDKを配置するという選択肢があります。

例えば、1階にLDKを計画した場合、周辺建物の影響から暗くなりがちで、吹抜けを設けるなどの工夫がなければ、日中でも照明が必要な可能性があります。2階にLDKを計画することで、屋根形状やハイサイドライトなどの工夫だけで、採光と通風を確保することができます。立地が良ければ眺望も楽しむことができるでしょう。

https://www.advance-architect.co.jp/works/2018/05/hhh2/
▲勾配天井と北側にハイサイドライトを設けた2階LDK(建築実例「HHH-house 囲む家」より)

ただし、2階にLDKを計画することで、次のような心配が伴います。

一つ目は、日常生活においての階段の昇り降りです。食材をはじめ、重い荷物を運ぶ場合や歳を重ねるごとに負担が大きくなることが考えられます。また、ゴミ出しや洗濯など日常生活においても無駄な昇り降りは避けたいものです。将来、エレベーターを設置できるスペースを計画しておくことや、ゴミの一時置き場を設ける、浴室などの水まわりも2階に計画するといったような、日常生活において上下階の往復を軽減できるような動線計画の工夫が大切です。

二つ目は、音の心配です。間取りを検討される際に、LDKなど頻繁に使う部屋の階下には、使用頻度の低い部屋を配置するなどの工夫が大切になってくるでしょう。

広がりや明るさを感じる空間をつくるために有効な手段

前述3つの工夫以外に、広がりや明るさを感じる空間をつくるための有効手段として、「吹抜け」の利用があります。縦方向の空間をつなげることで広がりを感じたり、密集地や狭小地でも下階に明るさをもたらしてくれる吹抜けですが、採用するにあたって、大きく3つ考慮したいことがあります。

■1|耐震性が弱くなる可能性がある

吹抜けを設けることで、床を貼る部分が減り、床面の剛性が落ちるため、耐震性が弱くなる可能性があります。そのため、構造計算という理論的に建物の安全性を立証する手法で裏付けを取りながら設計していくことが重要となります。当社でも吹抜けを設けた住宅の施工実績は多数ありますが、国が定めた耐震等級の最高ランクである等級3を取得することを基本とした構造計算を実施した上で建築しています。

■2|暖房効率が落ちるという問題

「暖気は上に、冷気は下に動く」ということは既にご存知の方も多いと思いますが、吹抜けを設けることで、1階の暖房効果が落ちる可能性があります。そのため、家全体の断熱性能を向上させる必要があります。断熱性能(UA値)と気密性能(C値)について国が省エネルギー基準を示していますが、その基準の数値を上回る性能を目指したいところです。

断熱材の種類によっても断熱効果に大きな差が生まれますので、どのような断熱材を使用するかを建築会社に確認いただくことをおすすめします。また、吹抜けを設ける場合は、床暖房の併用が効果的です。

■3|家族のライフスタイル

ここが一番重要ポイントと言えるかもしれません。吹抜けを設けることで上下階の音や声が通りやすくなります。そのため、個々のプライバシーを重視したいというご家族には不向きでしょう。その逆で、家族が相互に接しながら仲良く暮らすというスタイルであれば、1階にいても2階で過ごす家族の気配を感じられる吹抜けはおすすめです。

まとめ

このようにネガティブな要素がある土地でも、少しの工夫で気持ちいい空間をつくることができます。皆様には、希望の土地と出会うまで、「ネガティブな要素がある土地でも間取りの工夫次第でクリアできるかもしれない」という感覚と、「こんな家づくりをしたい」というワクワクした気持ちを持ち続けていただきたいです。当社では土地探しのお手伝いから資金計画まで、建物のイメージや予算に合わせてアドバイスをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

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