本施設は、“人らしく”生きられる「私の別荘」をテーマに、看護小規模多機能型居宅介護の考え方をかたちにした住まいです。外観は「家」の原型を抽象化し、まちに開かれた、温かく親しみのある輪郭を描いています。住まいの中央に配置した吹き抜けは、利用者と介助者の視線と気配が自然に交差する構成とし、日々のケアを「支援」ではなく「関係」として感じられるようにしました。併設したカフェには、地域の子どもたちが駄菓子を手に訪れ、縁側を通じて世代を越えたふれあいが日常に溶け込みます。この家では、誰もが立場を超えて、ひとりの生活者として、“私の家での私らしい時間”を過ごせます。制度や機能にとどまらず、暮らしを支えるための空間として設計しました。