3階建て住宅が立ち並ぶ密集地における、北側接道の南北に延びる狭小地での計画です。敷地条件により、真向かいにあるマンションからの視線の配慮と、限られた面積の中でいかに広がりを感じられる空間にするかを求められました。マンションからの視線を考慮し、正面には大胆な開口を設けず、3階建ての高さを活かした縦に連なる開口でファサードを構成しました。この開口に面して、2階のメインフロアは吹き抜けのあるリビングを配置しています。日中、陽光を採り込める南面にも開口を設け、光の通り道を確保することで、南北どちらにも広がりを感じる空間を実現しました。さらに、キッチンからリビングへと段階的に天井や床の高さを変化させることで、LDKにより奥行きを感じられるように工夫を凝らしました。また、高さの変化は、リビング、ダイニング、キッチンと各シーンを緩やかに区切っています。縦と奥行きを利用した狭さと広がりの緩急で、面積以上の広がりを体感できる住まいとなりました。