開発地の一画で、南側に道路が面する整形地での計画です。ご主人は建築に深い造詣をお持ちでありながらも業からは一線を画した仕事をされています。そんなご主人の要望は、奥さまの願いとご家族の想いを最優先に叶える住まいでした。周辺環境を考慮した結果、条件の良い２階に主室を計画することになりました。リビングの南側にはリビングとフラットに続く大きなバルコニーを設置し、アウトドアリビングとしての要素を付随させました。さらに、目隠し壁を立ち上げることで、プライバシー性の高い、明るく風通しの良い主室を実現しました。リビングとダイニングは勾配天井とし、最も高いレベルまで天井を上げ、逆にキッチンの天井高を一定のレベルまで落とすことで、空間にリズムをつくりました。さらに、アウトドアリビングに空まで突き抜けるような天井の要素を持たせ、住まいに取り込みました。また、主室の一角には、子どもの遊び場としても利用できるフリースペースや妻のワークスペースを配しました。そのほか、水まわりとサービスバルコニーも主室と同じフロアに配することで、家事がワンフロアで完結できる空間となりました。１階のエントランスは、印象的なスチール階段が鎮座し、メインアプローチと、ガレージからシューズクロークと洗面コーナーを経由してアクセスするプライベート用アプローチをつなげる接続点として、空間にゆとりの広さを与えました。主室内部での天井高さのリズムと、外部空間の空の天井がある本計画は「見上げる天井高さのある家」として、ご主人の建築に対する造詣とご家族に対する強い想いの融合によって完成しました。