周囲を建物に囲まれた旗竿地のような専用通路のある敷地での建替計画です。旧住宅ではLDKに光が入りにくい、キッチンから水まわりへの動線が長く家事がしづらいなどの不便がありました。オーナー様は建替にあたって「LDKは広く、光が降り注ぐような空間で、隣接して中庭を設けたい。キッチンからリビングやダイニング、中庭を見渡せるようにしたい。家事がラクにこなせる動線にしたい。子どもの趣味スペースを確保したい。来客時にお出迎え感のある空間を演出したい」と望まれました。まずは唯一開けた2階南側の一角にバルコニーを計画。その周囲に吹き抜けや階段を設けることで、最大限に光を採り込める空間を実現しました。玄関は敢えて暗めの空間とし、日中は階段を介してバルコニーから採り込んだ光が降り注ぎ、ゲストが自然と上階に導かれるような演出を施しました。心理学的に「上を向く」という習慣は自信や希望を与え、心穏やかに幸せを感じる効果があると言われています。そこで光や縦に広がる空間に導かれるように上に向かって気持ちのいい空間が連続し、ご家族が自然と上を向くような設計を意識しました。また、子どもたち専用のスペースとして個室とロフトを用意しました。ロフトは用途を分けながらも吹き抜けを介してLDKとつながり、空間に広がりと一体感を持たせています。高い断熱性能やパッシブデザインの要素とあわせて、エネファームや太陽光発電を併用することでエネルギー負荷の少ない住まいを実現しました。